大森海苔 丹右ヱ門の記憶

~300年の歴史がある海苔漁場であった大森の過去と現在~

水止めの舞

14日の日曜日は東京都の無形民俗文化財に指定されている厳正寺の水止舞を観に行きました。

 

水止舞は約680年の歴史を持ち、起源は鎌倉時代の元亨元(1321)年にまで遡ります。

当時、武蔵国(現:関東)が大干ばつ被害に遭った時に住職がワラで竜神を作り7日間祈祷し雨を降らせました。

しかし、その2年後に長雨が続き田畑が流出してしまった為、農民は以前の感謝を忘れて「あの時の雨ごいのせいだ」と住職を責めます。

その為住職は獅子の頭を3つ作り『水止(しし)』と名付けて農民に被せて太鼓を叩きながら舞わせ、ほら貝を吹いて龍神に雨を止ませる様に祈祷したところ雨は止み、農民は感謝して今後天変地異の際はお寺に「水止舞」を捧げるようになったといいます。

 

 

必用時には頼り、問題があれば責め立てる。何とも勝手な話ですね。

 

因みにこちらの舞は保存会もあり現在まで続いていますが、かつては厳正寺舞というものがありました。こちらは第二次世界大戦により、踊り手が戦死された為途絶えてしまいまったそうで何とも残念です。

 

 

 

開催は13:00~15:00までの時間です。去年も今年も夜勤明けで観る事が出来ましたが、どちらも仮眠している間にいつも開始時間を過ぎてしまい、いつも途中からの鑑賞です。


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始まりは、ワラで渦巻き状に編んだ雌雄の龍神2体の中に一人ずつ入り、ほら貝を吹きながら水をかけられ道をゴロゴロ転がされます。

 

そしてお寺に入り舞台に上がって舞が始まりますが、私はいつもこの舞からしか見たことがありません。当日は雨であった為にお寺の正面の魚屋から始まったそうですが、いつもは150m程離れた大森東中の正面から始まります。

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到着してからは、先にお墓参りを済ませて鑑賞しました。

観に来ている方は数人外国人がいたり、休日という事もあり結構な人数でした。伝統行事の為、地元テレビ局も来ています。

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舞台前側には太鼓を鳴らし足踏みをしている獅子3人、華籠という赤い被り物をしている左右の2人がさらら(楽器のギロの様なもので、さららは稲穂が擦れる音で五穀豊穣の意味)というものを擦らせ、舞台後側の方が吹く笛の音と共に水止めの舞いは行われます。


語り手はいつも調査でお世話になっている長老がされています。10代から携わっている為70年近く続けられています。いつまでも元気でいて頂きたいですね。

 

終わったあとは舞台前に関係者が集まり写真を撮ります。

そのあとに獅子の頭を希望者に被ってもらい写真撮影も出来ます。

これには「頭痛が治る」という言い伝えがあります。


小雨が続いていましたが、舞が終わる頃には丁度良く雨が止んでいました。

思わず信じたくなるようなタイミングです。

 

終わったあとは長老に挨拶し、寺を後にしました。

 

そして夕方には神社へ、先月の京都旅行の報告会である鎮座式に参加して来ました。この時に耳にしましたが、今月末にある羽田神社祭礼では見事な大神輿が出る年だ思ってましたが、こちらは出ずに50年振りに牛舎が出るという事でした。

大神輿を楽しみにしていたので残念ですが、貴重な牛舎を見て来たいと思っています。

この日、神輿は担がない予定です。理由は『ヨコタ担ぎ』という船が大波で揺れている姿を表わす独特の担ぎ方で、一定の時間左右に大きく揺らし、担ぎ手はジャンプし続けるという中々きつい担ぎ方だからです。数年前、初めての参加で足を壊し回復まで大分時間が掛かったもので…。

 

因みに浦守稲荷神社の担ぎ方は知らない人でも神輿と言えば想像がつく『江戸前神輿』です。

ワッショイ、ワッショイやエイサ、エイサの掛け声で練り歩くというもの。私はこちらが一番好きです。